職場ストレスによる労災不支給取り消しを求める 看護師寳田都子(たからだみやこ)さん

これだけの過酷な労働実態があっても労災は不支給??

59才で老健施設の看護師長に転職

寳田さん(高松市在住)は、看護師として育児・介護を両立しながら、香川県内の病院などで約38年間働いた後、介護老人保健施設「明けの星」(高松市)から強く要望され、平成24年1月看護師長として入社しました。入所者数95%確保(ノルマ)の任務と管理業務を任されました。

看護師が1年2カ月足らずで13人退職(15人中)、深夜・休日問わずの長時間労働

ところが施設内では看護師不足が常態化しており、寳田さんはノルマ達成が常に課せられたうえ、多岐にわたる膨大な業務をこなすために長時間労働、連続勤務を強いられ、理事長・事務長からのハラスメントなどで心身ともに疲弊し、動悸や不眠状態が続くようになりました。

入所者数95%未達成を叱責されて

25年3月7日ノルマが達成できないことを理由に退職勧奨を含む降格処分の通告を受けたことで、極限の精神状態に追い込まれました。そのことが原因で精神障害「急性ストレス反応」を発症しました。(現在は「難治性うつ病」)

心理的負荷の強度は「中」として労災不支給(高松労基署)【心理的負荷も含めて、「中」が3つあったにも関わらず不支給となる。】

平成25年11月高松労基署へ労災請求しましたが、27年3月不支給決定とされ、その後審査請求、再審査請求まで行いましたが、いずれも「棄却」となり、29年1月高松地裁へ提訴しました。

発症から5年あまりたっても回復せず

寳田さんは平成26年10月退職しましたが、「うつ病」に加え突発性難聴で左耳の聴力をほぼ失い、耳鳴り、めまいも続き、現在も病状は回復せず療養中です。

「不支給」を前提とし、証拠・証言を隠蔽・改ざんした法人側の意見を全て正しいとするずさんな調査により、過酷な労働実態は全く明らかになりませんでした。

ブラックな医療法人の労働実態解明、及び公平・公正さを欠いた労働行政の改善を強く願い、「不当な労災不支給の取消」を求め、司法の場で闘い続ける道を選びました。

ご支援を、よろしくお願いいたします。

膨大な業務と過重労働

・臨床における看護業務の支援

・新人看護師の教育

・看護職の勤務表作成

・介護職への教育、指導

・救急対応

・各種委員会、幹部会の出席

・カンファレンスへの出席(週2回)

・新規入所希望者の訪問、面談、家族の聞き取り調査

・新規入職者の面接、オリエンテーション

・実習生へ施設案内、実習の対応

・医療用物品、酸素ボンベなど医療器具の点検、調達

・退職者の送別イベント企画

・人事管理

・各種マニュアルの作成

・施設内のキリスト教礼拝の準備

・白衣のクリーニングの管理

・入所者の華道、書道レクレーション関連

・新規求人の募集活動

長時間労働と連続勤務

時間外労働

発症前1ヵ月 172時間22分

発症前2か月 120時間54分

発症前3カ月 128時間28分

発症前4か月 154時間56分

発症前5ヶ月 123時間21分

発症前6ヵ月 127時間20分

連続勤務

平成25年1月28日~3月6日  38日間

平成24年10月25日~12月4日 41日間

平成24年9月17日~10月22日 37日間

ノルマ未達成で「解雇や。」

3月7日院長より呼びだしがあり再び「入所者数が採算ラインの95人を下回っているがどうするのか。」「12月にも言うたよな。増やせと何回も。」「役立たず。」「使いものにならん。」「もっと賢いかと思ったのに入所増えへんやないか。」「辞めろ。解雇や。」「〇〇に替える。4月からベットコントロールはあなたはせんでいい。」と罵倒。 3月末までに98名になる予定だとリストを示し、「一年間苦労して看護師が定着し新人も育ち始めている。今やめることはできない」と反論したが、院長は聞く耳持たず退室してしまった。

~主治医は、「業務起因性」を認めている!!~

責任のかかる管理職を1年余りにわたってこなし、そのうえ毎日数時間の残業が当たり前という激務であったが、突然職を降りるように言われ、何の根拠もなく職能が低いように言われたことから、本人の自尊心を根底から揺るがすような状況に陥ったのであり、極めて深刻なストレス状況に直面した。上記のような症状は経過から見て今回の出来事と因果関係があると診断され、ストレス関連障害であることは明白である。(「意見書」より)

★ 精神障害の労災認定要件 ★

①認定基準の対象となる精神障害を発症していること

②認定基準の対象となる精神障害の発症前おおむね6ヵ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること

③業務以外の心理的負荷や個体側要因により発症したとは認められないこと

調査官によるパワハラでさらに悪化!

高松労基署の担当調査官は、体調不良の寳田さんに聞き取り終了後、「あなた生きていますよね。生存していますよね。生きているのに労災申請するのか。図々しい。」と言葉を投げつけました。このことで寳田さんの精神状態は極限に達し、病状がさらに悪化しました。

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